■有限体上の楕円曲線(その2)

【3】佐藤予想

 

 ところで,誤差項Mpはpに比べて小さく,

  |Mp|=|c(p)|≦2√p

を満たすことが証明されています(ハッセの定理,1933年).

 

 そこで,

  cosθp=c(p)/2√p

とおくと,数論における楕円曲線のヴェイユ・ゼータに関する佐藤(幹夫)予想とは,楕円曲線Eの位数の分布に関するもので,Eが虚数乗法をもたないとき,偏角θpが任意に固定された0≦a≦b≦πに対して,偏角が[a,b]となる素数密度:

  #{p≦x;a<θp<b}/π(x) 〜 2/π∫(a,b)sin^2θdθ

すなわち,その角分布はsin^2θに比例するであろうというものです.

 

 角分布がsin^2θに比例するという佐藤予想の最初の記述は,資料によると,昭和38年(1963年)のことなのですが,sin^2予想でt=cosθとおけば,  

 偏角が[a,b]となる素数密度 〜 2/π∫(α,β)√(1-t^2)dt

となりますから,これも1種の半円則となっていることがわかります.

 

 佐藤予想には,多くの言い換えがあって,

(1)x^2+Mpx+p=0

の解を

  √p(cosθ±isinθ)

とするとき,その角分布はsin^2θに比例する

(2)Mp/2√pが√(1−x^2)に比例する

(3)ハミルトンの4元数環(フルヴィッツの整数):(a+bi+cj+dk)/2の半径pの格子点3次元球面:a^2+b^2+c^2+d^2=4pの一様分布の実軸方向への射影である

といっても同じことです.

 

 佐藤予想(佐藤・テート予想)は現在も未解決で,リーマン予想に匹敵する予想であるといわれています.

 

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