■可積分系とテータ関数(その24)
【3】ヤコビのテータ関数からの補足
ヤコビの楕円関数sn,cn,dnを三角関数に対応する2重周期関数とするならば,ヤコビのテータ関数は指数関数に対応する擬2重周期関数です.
θ3(z)の定義は,三角関数を用いると
θ3(z)=Σq^(n^2)y^(2n)
=1+2Σq^(n^2)cos(2nπz)
とも表されます.ヤコビが定義したテータ関数はθ3を含めて4つあります.
θ4(z)=Σ(-1)^nq^(n^2)y^(2n)
=1+2Σ(-1)^nq^(n^2)cos(2nπz)
θ2(z)=Σq^((n+1/2)^2)y^(2n+1)
=2Σq^((n+1/2)^2)cos(2n+1)πz
θ1(z)=1/iΣ(-1)^nq^((n+1/2)^2)y^(2n+1)
=2Σ(-1)^nq^((n+1/2)^2)sin(2n+1)πz
qの指数は整数Zや半整数Z+1/2の2乗ですが,このことから整数あるいは半整数のつくる1次元格子上の2次形式と理解することができます.そして,整数・半整数,交代・非交代の組合せから4つのテータ関数が定義されるというわけです.
簡単のため,z=0(y=1)とおいたものをθk(τ)とかくと,
θ3(τ)=Π(1−q^2m)(1+q^(2m-1))^2
θ4(τ)=Π(1−q^2m)(1−q^(2m-1))^2
θ2(τ)=2q^(1/4)Π(1−q^2m)(1+q^2m)^2
θ1(τ)=0
θ1'(τ)=dθ1/dz|(z=0)=2πq^(1/4)Π(1−q^2m)^3
となります.
また,これらより
πθ2(τ)θ3(τ)θ4(τ)=θ1'(τ)
θ3^4(τ)=θ2^4(τ)+θ4^4(τ)
などの関係式を導き出すことができます.
ここからはデデキントのイータ関数との関係で
q=exp(2πiτ)
としますが,周期性
θ3(τ+1)=θ4(τ)
θ4(τ+1)=θ3(τ)
θ2(τ+1)=θ2(τ)exp(πi4)
双対性については,ポアソンの和公式を用いて求めます.
θ3(−1/τ)=θ3(τ)(−iτ)^(1/2)
θ4(−1/τ)=θ2(τ)(−iτ)^(1/2)
θ2(−1/τ)=θ4(τ)(−iτ)^(1/2)
また,テータ関数はヤコビの3重積公式
Σq^(m^2)y^m=Π(1−q^2n)(1+yq^(2n-1))(1−yq^(2n-1))
にも結びついています.
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