■レムニスケートの等分点とテータ関数(その2)

【1】レムニスケート積分からワイエルシュトラスの標準形へ

 レムニスケートの5等分点ともなると,Mathematicaで展開しても言葉が一切入らない数式が数ページにもおよび,どうしても5等分点は得られなかった.レムニスケート周長の5等分問題を扱うには,レムニスケートサインによる定式化ではうまくいきそうになく,ワイエルシュトラスの標準形

  ∫(∞,0)du/(4u^2-g2u-g3)^(1/2)

の特別な場合として扱うことにした.ワイエルシュトラスのペー関数pの加法公式は,レムニズケートサインの場合とは異なり,有理関数となるから,計算上のアドバンテージが得られるからだ.

  ∫(0,x)1/(1-x^4)^(1/2)dx

は変数変換

  x=1/√z,dz=−z^(-3/2)/2dz

により

  ∫(x,∞)1/(4z^3-4z)^(1/2)dz

となる.これは慣用の記号でg2=4,g3=0のワイエルシュトラスの標準形である.

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 ワイエルシュトラスのペー関数p(u)を単にpと略記すると

[1]微分方程式は

  (p’)^2=4p^3−4p

  p”=6p^2−2

  p^(3)=12pp’

  p^(4)=120p^3−72p

[2]加法定理

  p(u+v)=−p(u)−p(v)+1/4{(p’(u}−p’(v})/(p(u}−p(v})}^2

は,v→uの極限で倍角公式

  p(2u)=−2p(u)+1/4{p”(u}/p’(u}}^2

 =−2p+1/4・(6p^2−2)^2/(4p^3−4p)

 =(p^4+2p^2+1)/(4p^3−4p)

を得る.

 以下,v→2u,3u,4uとすると3倍角,4倍角,5倍角公式が得られる.ここで,レムニスケートの4半弧を定規とコンパスで2等分できることを示すために

  p(2u)=(p^4+2p^2+1)/(4p^3−4p)

において,p(u)=p,p(2u)=1とおく.すると,

  (p^4+2p^2+1)=(4p^3−4p)

より,p=1+√2=z

  x=1/√z=(-1+√2)^1/2=0.643594(→作図可能)

 こうして,ファニャーノはレムニスケートの四半弧を同じ長さの2つの弧へ分解することができることを示した.もう一度この手続きを繰り返すと4半角公式,2等分を3回繰り返すと8半角公式,・・・.これによって1/2^n倍に対する値が導かれる.

  p(2u)=(p^4+2p^2+1)/(4p^3−4p)=1+√2

を解く.解析解はとても長くなるが,作図可能であることを示すことができる(近似解のみを示すと,p=9.33034).引き続き

  p(2u)=(p^4+2p^2+1)/(4p^3−4p)=9.33034

を解いて,p=37.2407.

 2等分点はp(u)=1+√2  (作図可能)

 3等分点はp(u)=1+√3+√(3+2√3)  (作図可能)

さらに,

 p(5u)=1

を解いて,

  p(u)=w,z=1/√w

とすると,

  w=(2+√5+√(5+2√5))+√(−1+(2+√5+√(5+2√5))^2)=14.5588  (作図可能)

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