■円分多項式と正多角形(その35)

 枝葉の話ですが,t=x+1/xでうまくゆくのは結局cos(π/n),sin(π/n)が二重根号((10+2√5)^1/2など)で表されることに対応します.

 ユークリッド原論第10巻は今日の我々の眼からみると二重根号量((a+√b)^1/2,(a−√b)^1/2)の扱いであり,それが(特に(10±2√5)^1/2が)第13巻で正十二面体,正二十面体の構成にうまく活用されています.

 正17角形では3重根号数と4重根号数が必要になります.ある歴史家の話では,これは古代ギリシャの数学者の手に負えなかった話題(?)だろうということです.正5角形が(定規とコンパスで)作図できる,そしてその作図に黄金比と関連した二重根号で表される量が本質的に関わっているという事実の発見が古代ギリシャ数学のひとつの頂上であったように思います.

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[1](44±2√420)^1/2

 たして44,掛けて420になる2数xa,bは

  x^2−44x+420=0

の解であるから,x=14,30

  (44±2√420)^1/2=√30+√14

 一般に

  ((a±2√b)^1/2

は,xa^2−4b^2が平方数のとき,二重根号を外すことができる.

[2](5+2√6)^1/2は二重根号を外すことができる.

[3](7+2√5)^1/2は二重根号を外すことができない.

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