■ゼータ関数と素数(その7)
【1】オイラー積(最初のゼータ)
リーマンのゼータ関数は,もうひとつの重要な表示をもっています.
ζ(s)=Σn^(-s)=Π(1−p^(-s))^(-1)
Π(1−p^(-s))^(-1)をオイラー積表示といい,オイラーが1737年に発見したものです.
Π(1−p^(-s))^(-1)=Π(1+p^(-s)+p^(-2s)+・・・)
ですが,素因数分解の一意性より
Π(1−p^(-s))^(-1)=Σn^(-s)
となることが証明されます.
調和級数(自然数の逆数の和)は∞を使うと,オイラー積表示において,s=1とおくことにより
Π(1−p^(-1))^(-1)=1+1/2+1/3+・・・=log∞
対数をとることで,
Σ1/p=log(Σ1/n)=loglog∞
素数が無限個あるという定性的な結果は,古代ギリシャ時代,ユークリッドによってすでにわかっていたのですが,オイラーの証明はそれを定量的に改良したものになっています.また,オイラー積は素数が無限個存在することを示しているとともに,ζ(s)がRe(s)>1において零点をもたないことを示していて,ずっと強い意味での別証明になっています.本質的な進歩と考えられるのです.
ここで,素数をまとめあげたものを「ゼータ」と呼ぶことにすると,オイラー積は歴史上最初のゼータということもできるのです.
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