■ゼータ関数と素数(その1)

 オイラーの無限級数和Σ1/ns はsの関数とみるとき、ゼータ関数ζ(s)として知られており、ζ(2)=π^2 /6と表されます。また、

 ζ(s)=1/1^s +1/2^s +1/3^s +1/4^s +・・・

=(1+1/2^s +1/4^s +1/8^s +・・・)(1+1/3^s +1/9^s +・・・)(1+1/5^s +・・・)・・・

=1/(1−2^-s)・1/(1−3^-s)・1/(1−5^-s)・1/(1−7^-s)・・・

=Π(1−p^-s)^-1   (但し、pはすべての素数を動く。)

と書き換えることができます。

1+x+x^2 +x^3 +・・・=1/(1−x)

にx=1/p^s を代入したものを、Π(1−p^-s)^-1に代入して積を展開すると、ζ(s)=Σ1/n^s となることがおわかりいただけるでしょうか。

 この式の右辺はオイラー積と呼ばれ、ゼータ関数と素数の間をつなぐ式になっています。したがって、ゼータ関数はすべての素数にわたる無限積であり、このような関係から、自然数全体についての和の話が素数全体についての積の話になります。これにより、1/ζ(s)はs個の整数を勝手に選んだとき、同時に割り切ることのできる1でない数が存在しない確率であることがわかります。すなわち、2つの整数が互いに素である確率は1/ζ(2)=6/π^2 (61%)となります。数学は無限の科学といわれていますが、πの無限級数が無限にある素数と深く関係していたのです。

 オイラーによって考え出されたこの関数はまったく思いがけないほど多くの数学の分野と関連することになりました。リーマンはオイラーが研究したゼータ関数を複素数へと広げました。離散的な素数の研究が連続的、しかも複素関数に関係しているなんて驚きではないでしょうか。今日、数学における未証明問題として謎に包まれているリーマン予想とは、ゼータ関数の0点はすべて虚軸に平行で右側の直線上に存在するというものですが、この仮説が正しければ素数分布に関する重要な結論が導き出せるといわれています。

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