■ヨハン・アルブレヒト・オイラーの不等式(その37)

 4平方和問題

  (a^2+b^2+c^2+d^2)(p^2+q^2+r^2+s^2)=x^2+y^2+z^2+w^2

  x=ap+bq+cr+ds,

  y=aq−bp+cs−dr,

  z=ar−bs−cp+dq,

  w=as+br−cq−dp

とおくと成り立ち,4つの平方数の和となっている数は積の演算で閉じていることを示している.

 しかし,3平方和問題

  (a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2)=u^2+v^2+w^2

は2平方和,4平方和の場合のようなわけにはいかない.3平方和の積が必ずしも3平方和とならないからである.

  |a|・|b|=|c|

すなわち

  (a1^2+a2^2+・・・+an^2)(b1^2+b2^2+・・・+bn^2)=(c1^2+c2^2+・・・+cn^2)

の恒等式はn=1,2,4,8に対してだけ満たされるという驚くべき結果が19世紀末,フルヴィッツにより証明されている(1898年).

 したがって,ある条件のもとで,数の体系は八元数までですべてであることが知られていて,数の系列は実数(一元数)→複素数(二元数:ガウス)→四元数(ハミルトン)→八元数(ケイリー)というようになっているのである.

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