■多元数(その12)

【3】十六元数は存在しないことの証明(フルヴィッツの定理)

 もちろん,三元数は存在しないので,六元数も存在しないが,ケイリー・ディクソンの2重化法

  C=R+iR

  H=C+e2C   (複素数の複素化)

を適用して構成される超複素数体系が,八元数

  O=H+e7H   (四元数の複素化)

である.

 しかし,このように倍増を重ねて新しい数体系ができるのは,八元数でストップするというのがフルヴィッツの定理である.この証明では単位元をもつ数体系を仮定するとR,C,H,Oに限るということを主張する.

 これはまた,平方和問題

  (a1^2+a2^2+・・・+an^2)(b1^2+b2^2+・・・+bn^2)=(c1^2+c2^2+・・・+cn^2)

はn=1,2,4,8の場合のみ解をもつことを意味している.

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