■多元数(その4)
【2】四元数
アイルランドの数学者ハミルトンは4個の実数の組よるなる四元数(x+yi+zj+wk)を発明しました(1843年)。四元数は複素数に似ていますが、ただ1つではなく3つの虚数をもつ複素数を拡大した数体系で、
i^2=−1,j^2=−1,k^2=−1,ij=k,jk=i,ki=j,ji=−k,kj=−i,ik=−j
なる性質をもち、
(x+yi+zj+wk)(x−yi−zj−wk)=x^2+y^2+z^2+w^2
となります。四元数ではかけ算の交換法則は成り立ちません(ab≠ba)。
[1]四元整数(リプシッツの整数)
ハミルトンの四元数
H=a+bi+cj+dk
において,a,b,c,dを整数に限った「四元整数」は4次元単純立方格子と同一視することができます.
ハミルトンの四元整数環は乗法の交換法則が成り立たない非可換環ですが,4次元空間内の原点を中心とする半径√nの3次元球面上には必ず格子点があることを主張しているのが「ラグランジュの定理」であることは,このコラムでもこれまで何回か説明したとおりです.
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