■準結晶(その6)

準結晶ではないが、隕石つながりで、ロンスデール石も紹介しておきたい

 ロンスデール石は1967年,アリゾナにある隕石の落下地点で初めて発見された希少な結晶である.同年に人工的に合成することに成功したこの結晶の名前は英国の結晶学者ロンスデールに因んでいる.

 ロンスデール格子を真横からみるとダイヤモンドと変わりがないが,真上からみると蜂の巣状に見える.ロンスデール格子はグラファイトに似たところがあり,隕石孔のみから発見されることより衝突下の高温高圧によりグラファイト構造を保ちつつ変性したものがロンスデール石であると考えられる.

 ダイヤモンドではすべての六角形がイス型立体配置であったのに対し,ロンスデール石では舟型立体配置が存在する.舟型立体配置はイス型立体配置に較べ構造不安定で,ロンスデール石はダイヤモンドよりも柔らかい.

 氷の結晶で酸素原子のみを繋ぐと,ロンスデール石とほぼ同じ形をした結晶になっている.それに対して,ダイヤモンド型の氷の結晶も存在するが,それは高圧環境下で生成された氷である.

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 ロンスデール石(ロンスデーライト)は1967年にアメリカのアリゾナ隕石孔(クレーター)で発見されたダイヤモンド格子に似た極めて稀少な結晶である.ロンスデールは英国の結晶学者であり,ロンスデーライトは彼の名前にちなんでいる.

 生物学の世界では新種の発見物に対して自分の名前をつけることは許容されているが,鉱物学では許されていない.鉱物学に詳しい友人から聞いた話では,あくまでも本人以外のお弟子さん達なりその同調者が嘆願活動をすることによって,学会で承認されることになっているらしい.

 つまり,自分の名前がつけられた石があるということは学者としての評価が高いことは当然のこととして,人格的にも優れた人望に厚い人物ということになるのだろう.

松原聰先生も,松原石(マツバライト)と命名された石をお持ちである.以前,大久保にある国立科学博物館(分館)を訪問したとき,その石を見せていただいたことがあるが,想像していたものよりもかなり小さな石であった.

 石を鉱物ルーペで眺めては正方晶系や等軸晶系などに分類し,飽きもせず鑑定を進められておられた姿が思い出される.

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