■ペンタゴンとペンタグラム(その9)

正五角形の外殻になっている5本の辺(ペンタゴン)と内部にある5本の対角線(ペンタグラム)の相互関係について

この図の中に何枚の三角形がはいっているか?

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小三角形10

中三角形10

大三角形5

正五角形を含む三角形10

の計35枚

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正五角形に対角線を描き入れると星形五角形(ソロモンの星)ができるが,正五角形と星形五角形の入れ子はペンタグラムと呼ばれる.

 この図はK5と呼ばれる完全グラフである.グラフ理論を知っている人にとって,K5とK3,3を含むグラフはどうやっても平面グラフにはならない(クラトウスキーの定理)ことは常識的なことである.

 グラフ理論を知っているひとならば,完全グラフK5と答えるかもしれない.しかし,それでもイメージは貧困である.幾何学者にとっては,この図形は4次元正単体の投影図そのものなのである.もっといえば,n次元正単体は(n+1)個の点からなる完全グラフKn+1とみなすことができるのである.

 もし,この図が5つの四面体の結合にみえたなら,あなたも立派な幾何学者である.そこで格言,「この五角形が4次元正単体に見えぬ者は高次元幾何学の門をくぐるなかれ」

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数学の世界には,ごく稀ですが,4次元や高次元の世界をイメージできる人がいます.たとえば,ペトリーは子供の頃から数学に対する異常な能力を示し,4次元図形を直観的に見ることができたといわれています.

 しかしながら,3次元の世界を視覚化できるだけでも十分に希有な能力であって,数学者であっても2次元のイメージで何とかやっている人がほとんどです.実際,数学者であってもこの図形が4次元正単体の投影図であることを知っている人は(たとえいたとしても)少ないのです.

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