■正三角形の正方形化と分解合同定理(その2)
フィボナッチ数列の各項はパスカルの三角形の対角線上の数の和に一致しています.2項係数とフィボナッチ数の間にも多くの関係があるのですが,この他にもフィボナッチ数は多くの性質をもっていて,以下にいくつか紹介しておきます.
Fn・Fn+2=Fn+1^2−(−1)^n
F1+F2+F3+・・・+Fn=Fn+2−1
F1+F3+F5+・・・+F2n-1=F2n
F2+F4+F6+・・・+F2n=F2n+1−1
F1^2+F2^2+F3^2+・・・+Fn^2=Fn・Fn+1
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有名な幾何学的パラドックス<64cm^2=65cm^2>は,8・8の正方形から5・13の長方形を作ると,いつのまにか面積が1だけ増えています.
「不思議の国のアリス」の作者であるルイス・キャロルが創ったとも,パズルの大御所であるサム・ロイドが創ったともいわれているパズルです.1794年,フーパーが初めて紹介したという記述もあります(フーパーのパラドックス).きっと,いろいろな本でみたことのある方も多いと思います.
ファイボナッチ数の連続する3項には奇妙な関係があり,
Fn・Fn+2=Fn+1^2−(−1)^n
すなわち,第1項と第3項をかけた数と第2項の2乗の差が常に±1になります.たとえば,5,8,13の場合は5・13=8^2+1になります.
このトリックは一直線をなすように使われた2つの線分の傾き3/8,5/13の相違がわれわれの視力の限界外となる錯覚を利用したもので,もっと先の数,たとえば8/21とかを使えばより巧妙なトリックになります.公式
Fn・Fn+2=Fn+1^2−(−1)^n
は,3つ並んだフィボナッチ数の真ん中の数の平方は前後の2つの数の積より1大きいか小さいかのどちらかで,このトリックパズルのもとになっています.
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正三角形を4つの部分に分解して、それを正方形に並べ替えよというパズルは1907年、デュドニーの作とされている。面積の等しい任意の多角形は分解合同になるボヤい・ゲルヴィンの定理の例である。
フーパーのパラドックスも正方形を4片に分解して、長方形に並べ替えたように見えるが、それらの面積を比較すると64=65になっているように見える。同じ4片の並べ替えでも一方は定理であり、一方はトリックなのである。
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