■グノーモンの謎(その3)
「ユークリッド原論」第2巻に収蔵されているグノーモンについて,グノーモン関連の定理は「幾何学的な代数論」であるととか,いろいろな説(謎)がある.
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「ユークリッド原論」第2巻に収蔵されているグノモンについては酷評がつきまとう.「ユークリッド原論」の代数あるいは数論には「素数は無限に存在する」「ユークリッドの互除法」「√2は有理数ではない」「ピタゴラスの定理」など,非常に貴重でしかも証明が美しい定理があるのに,なぜこんな議論を「原論」に収録したのだろうか,等々.
とはいっても,ある研究者にとって「グノモン」は重要なようだ.たとえば,四角形の図から、
(a+b)^2=a^2+b^2+2ab
といった具合で,グノモンを応用して,代数を研究しているように見える.
この方法(幾何学的代数)はバビロニアの数学起源のものらしいが,ユークリッド原論では第1巻,第3巻が三角形を中心とする「ユークリッド幾何学的」なのに,第2巻のみでグノーモンを扱うのは唐突な感じがするのであろう.第二巻がほかの巻と何の関連もなく,唐突で不自然な感じであり,ユークリッドが理論について未完成,未消化のままこの巻を執筆したことは確実だと思われる.
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