■グノーモンの謎(その2)

 「ユークリッド原論」第2巻に収蔵されているグノーモンについて,グノーモン関連の定理は「幾何学的な代数論」であるととか,いろいろな説(謎)がある.

 

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ユークリッド原論の第2巻のグノーモンについて、東大出版会のユークリッド関連の本(全集と「ユークリッド原論の成立」)では,旧来の説(グノーモンは幾何学的代数論に相当する)が否定されている.

しかし,カッツ著「数学の歴史」を読むと旧来の説は正しいような気もする.イスラムの数学は,ユークリッド原論を継承したうえで,グノーモンのような方法(幾何学的代数)を応用して,代数を研究しているように見える.歴史というのは難しいものだ.しかし,多くの人が読んで感じのは「つまらない」の一言につきるようだ.「ユークリッド原論」の代数あるいは数論には「素数は無限に存在する」「ユークリッドの互除法」「√2は有理数ではない」「ピタゴラスの定理」など,非常に貴重でしかも証明が美しい定理があるのに,なぜこんな議論を「原論」に収録したのだろうか?

 

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