■算術平均・幾何平均不等式(その6)
数を連分数で表示すると数字1が大量に出現することに気づきます.そこで,連分数の部分商の分布について考えてみます.
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【1】ガウスの定理</P>
1828年,ガウスは整数部を除いた[0:a1,a2,a3,・・・,an]がxより小さい小数となる確率は
P([0:a1,a2,a3,・・・,an]<x)=log2(1+x)+εnで与えられることを証明しました.
誤差項に関して,1928年にクズミンはほとんどすべての連分数に対して,
εn=O(q^√n) 0<q<1
1929年にレヴィは
εn=O(q^n) q=0.7
であることを示しました.どちらも誤差項εnは漸近的に0になることを示しています.
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ガウスはまた,連分数の部分商の確率密度関数は
P(an=k)=P(k<εn<k+1)=P(εn<k+1)−P(εn<k)→log2(1+1/k)−log2(1+1/(k+1))
=log2(1+1/k(k+2))
であることを示しました.
an=1,2,3,・・・に対する確率は大部分の小数部で等しいのと対照的に,連分数では減少していきます.そして,十分大きなnに対する部分商の起こる確率Pは
k 1 2 3 4 5 6 7 8 9+
P(an =k) .41 .17 .09 .06 .04 .03 .02 .02 .16</P>
となることがわかります.
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