■四元数の応用(その11)

 複素数ではかけ算は回転に相当し、平面上の回転をexp(iθ)=cosθ+isinθとすればZ’=exp(iθ)Zと記述できます

iをかけるという操作は複素数平面上では90ど回転を表すというわけです。

ハミルトンは3次元空間での回転を記述する試みの中から、複素数の類似である3個の実数の組からなる新しい数(x+yi+zj)を導入して、(a+bi+cj)(x+yi+zj)のような積を同じ空間内のベクトル(α+βi+γj)として表そうとしました。

しかし、空間の回転をとらえるというはじめのアイデアは失敗に終わり、結局、4次元へ跳躍することによって4個の実数の組よるなる四元数(x+yi+zj+wk)を発明しました(1843年)。

 四元数は複素数に似ていますが、ただ1つではなく3つの虚数をもつ数体系で、i2 =−1,j2 =−1,k2 =−1,ij=k,jk=i,ki=j,ji=−k,kj=−i,ik=−jなる性質をもち、(x+yi+zj+wk)(x−yi−zj−wk)=x2 +y2 +z2 +w2 となります。四元数ではかけ算の交換法則は成り立ちません(ab≠ba)。四則演算の法則に変更を加えない限り、3次元空間への拡張はできなかったのです。

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オイラーの公式exp(iθ)=cosθ+isinθ

を四元数の場合に一般化することを考えます。

exp(iθ+jφ+kψ)=?

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Φ=(θ^2+φ^2+ψ^2)^1/2とおくと

exp(iθ+jφ+kψ)=cosΦ+(iθ+jφ+kψ)/ΦsinΦ

n=1/Φ・(θ,φ,ψ)としたとき、2Φ回転を表していることが分かります。

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