■四元数の応用(その2)
四元数の成分の後ろ3つは3次元のベクトル成分と考えることができて、3次元空間の幾何学を記述することができる
ω=(1+i+j+k)/2
は,
ω^2=(−1+i+j+k)/2
ω^3=−1
ω^4=−(1+i+j+k)/2
ω^5=(1−i−j−k)/2
ω^6=1
より1の原始6乗根であり,ωは4次元空間内の60°回転に対応していると考えることができる.
また,四元数ω=(1+i+j+k)/2は単位四元数であり,軸n周りのθ回転は単位四元数
q=(cosθ/2,sinθ/2n)
で表せるから
θ/2=π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)
すなわち,(1,1,1)方向を軸とする120°回転に対応している.
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【1】正四面体の対称性と正24胞体
以上のことより,立方体の向かい合う面の中心を通る直線を,i軸・j軸・k軸とみなすと,正四面体の12の対称性を四元数の点の集合として表現することができる.
[1]回転軸
λi+μj+νk
はOの回りに角θだけ回転する場合,空間の回転は四元数
cos(θ/2)+(λi+μj+νk)sin(θ/2)
によって表される.
[2]1/2回転(θ=πならばθ/2=π/2)なので,
λi+μj+νk
したがって,i軸・j軸・k軸回りの回転はそれぞれi,j,k自身によって表現される.
[3]同様に,
ω^2=(−1+i+j+k)/2
はθ/2=2π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)より(1,1,1)方向を軸とする240°回転,
ω^4=−(1+i+j+k)/2
はθ/2=−π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)より(1,1,1)方向を軸とする−120°回転,
ω^5=(1−i−j−k)/2
はθ/2=−π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)より(1,1,1)方向を軸とする−120°回転.
q=±1
はθ/2=±π,n=(0,0,0)より無回転(恒等写像)であるが,
q=±i
はθ/2=±π/2,n=(1,0,0)より(1,0,0)方向=x軸を軸とする±90°回転に対応している.
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