■八元数の応用(その4)

八元数は長い間放置されていたのであるが、1980年代、数理物理学(弦理論)と結びついた

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 1950年代末,ハドロンという一見素粒子にみえる粒子がたくさん発見された.陽子と中性子は物質の構成要素として重要な役割をはたしているハドロンである.しかし,それら以外のハドロンはどんな役割をはたしているのか,そもそもなぜそんな粒子が存在するのかもわからなかった.

 ゲルマンによるとクォークにはアップu,ダウンd,ストレンジsという3タイプあり,中性子はud2,陽子はu2dからできている.陽子と中性子以外のハドロンはu,dの他にsも含まれている.また,クォーク3個から構成されるものもあれば,1個のクォークと1個の反クォークの計2個のクォークから構成されるものもある.その結果,クォークは分数電荷をもたなければならかくなる.

 やがて実験によってクォークの存在が確認され,分数電荷であることも確かめられた.したがって,この説明は認めるざるをえないが,わからないのは物理学者は一体どうやって陽子と中性子がより小さな素粒子から構成されていることに気づいたのだろうか?

 このハドロン八重項を統一的に説明するために必要だったのが,SU(3)だった.8個のハドロンはSU(3)の表現である8次元空間の8つの座標軸と1:1に対応しているのである.

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