■もうひとつの分解合同定理(その2)
Tomkowicz, Wagon著、佐藤健治訳「バナッハ・タルスキーのパラドックス」共立出版が刊行された。
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ハウスドルフが1914年に証明したのは,「Kを球面としたとき,
K=Q+A+B+C
と分解できる.Qは可算集合,A,B,Cは互いに合同,AとB+Cは互いに合同」である.
この証明では可算集合の存在は決して無視できない.有限分解合同と可算分解合同を混同しているというのが阪本氏の説明である.
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集合論の測度の問題は最終的には実数の性質に帰着されるのかもしれないが,この手の話はよくわからないというのが本音である.
また,2次元と3次元の本質的な違いがどこから出てくるのかもよくわからない.デュドニーのカンタベリー・パズルやタングラムは分解合同の例であるが,任意の多角形は同じ面積の正方形と分解合同である(ボヤイ・ゲルビンの定理).しかし,3次元の多面体分割では,ボヤイ・ゲルビンの定理に類似するものは成り立たないというのがデーン・シドラーの有限分解合同定理である.
バナッハ・タルスキーの有限分解合同定理はデーン・シドラーの有限分解合同定理を基にしてはいるが,似て非なるものなのだろうか等々,疑問はつきない.
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