■格子点と追跡曲線(その10)

【1】シェレルの定理

  n≧5,n≠6のとき,Z^3内の格子正n角形は存在しない(シェレルの定理,1946年)

 証明は驚くほど簡単である.

  前原潤,桑田孝泰「知っておきたい幾何の定理」共立出版

  桑田孝泰,前原潤,「整数と平方格子の数学」共立出版

を参照されたい.

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【2】格子正三角形の場合

  「Z^2上で格子正三角形は存在しない」

(証)格子正三角形の頂点を(a,b),(0,0),(c,d)としても一般性は失われない.

  [c]=[cosπ/6,−sinπ/6][a]

  [d] [sinπ/6, cosπ/6][b]

 cosπ/6=1/2,sinπ/6=√3/2.(a,b)は整数より,(c,d)のいずれかは無理数となり矛盾.

(別証)正三角形の面積は無理数.しかし,ピックの定理より格子三角形の面積は有理数→矛盾.

  系「Z^2上で格子正六角形は存在しない」

  系「Z^2で格子正n角形は正方形に限る」(正多角形定理)

 ところが,

   「Z^3上で格子正六角形が存在する」

(証)1辺の長さが2の立方体の6辺の中点を結ぶと格子正六角形が得られる.

  系「Z^3上で格子正三角形が存在する」

シェレルの定理より

  系「Z^3上の格子正n角形は正三角形,正方形,正六角形だけである」

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