■ベキの逆数和の周期性(その6)
ベキ和
Sk(n)=1^k+2^k+3^k+・・・+n^k
ではなく
ベキの逆数和
Tk(n)=1/1^k+1/2^k+1/3^k+・・・+1/n^k
の分子についてはどのような周期性がみられるだろうか?
ウォルステンホルムの定理の紹介から始めたい。
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【3】ウォルステンホルムの定理の拡張
(Q)p>3が素数ならば
S=((p−1)!)^2(1+1/2^2+1/3^2+・・・+1/(p−1)^2)
がpで割り切れることを証明せよ.
pが2,3以外の素数ならば有限調和級数
1+1/2^2+1/3^2+・・・+1/(p−1)^2
の分子はpで割り切れる,したがってpが素数のときに限り分子はpで割り切れるというものです.
(A)
1+1/2^2+1/3^2+・・・+1/(p−1)^2
の分子は
(Ap-2)^2−2(p−1)!Ap-3
であり,pで割り切れる.
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
p=5
1/1^2+1/2^2+1/3^2+1/4^2の分子は5で割り切れる。
(2・3・4)^2+(1・3・4)^2+(1・2・4)^2+(1・2・3)^2=576+144+64+36=820
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同様に
「pが素数でp>5であるときに限り,
1+1/2^3+1/3^3+・・・+1/(p−1)^3
の分子はp^2で割り切れる」
「pが素数でp>7であるときに限り,
1+1/2^4+1/3^4+・・・+1/(p−1)^4
の分子はpで割り切れる」
1819年,バベッジは
(2p−1,p−1)=1 (mod p^2)
に気づきましたが,1862年,ウォルステンホルムは
(2p−1,p−1)=1 (mod p^3)
を証明したことになります.
一般に,pを素数,kをp−1で割り切れない正の整数とするとき,
1+1/2^k+1/3^k+・・・+1/(p−1)^k
の分子はpで割り切れる
=1+2^k+3^k+・・・+(p−1)^k
がpで割り切れることが示されています.
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ベキの逆数和の場合もベキ和Sk(p-1)=1+2^k+3^k+・・・+n^kの場合に帰着されるのですが、
k=0 (mod p-1)→周期の長さp^2
k≠0 (mod p-1)→周期の長さp
となることが示されています。
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