■フォード円(その11)

有理数p/qに対応するフォード円は、直径が1/q^2であって、数直線のp/qにおいて接する円である。

一方、分母が高々dの有理数からなる数列を位数dのファレイ数列といい、その各項は高さが1/d^2以上1/(d+1)^2未満の任意の水平線と交わるフォード円と対応している。

位数4のファレイ数列は[0/1,1/4,1/3,1/2,2/3,3/4,1/1]であることが分かる

また、これよりディオファントス近似に関する定理

|α-p/q|<1/2q^2を満たすものが無数に存在することも理解される

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【1】フォードの円列

 フォードの円列と直線との接点は常に有理数であり,区間[0,1]のすべての有理数はフォードの円列とx軸との接点として得られる.

 たとえば,x^2+(y−1/2)^2=(1/2)^2と(x−1)^2+(y−1/2)^2=(1/2)^2によって表されるような2円から始め,隣接する2項p/qとr/sの間に中間分数

  (p+r)/(q+s)

を挿入すると,ファレイ数列

[0/1,1/1]

→[0/1,1/2,1/1](2位のファレイ数列)

→[0/1,1/3,1/2,2/3,1/1](3位のファレイ数列)

→[0/1,1/4,1/3,2/5,1/2,3/5,2/3,3/4,1/1](5位のファレイ数列)

→[0/1,1/5,1/4,2/7,1/3,3/8,2/5,3/7,1/2,4/7,3/5,5/8,2/3,5/7,3/4,4/5,1/1](8位のファレイ数列)

が得られる.

 n位のファレイ数列とは分子と分母がnを超えない既約な正の有理数全体を大きさの順に並べたものである.たとえば,位数4のファレイ数列は

  [・・・,0/1,1/4,1/3,1/2,2/3,3/4,1/1,・・・]

位数6のファレイ数列は

  [・・・,0/1,1/6,1/5,1/4,1/3,2/5,1/2,3/5,2/3,3/4,4/5,5/6,1/1,・・・]

位数7のファレイ数列は

  [・・・,0/1,1/7,1/6,1/5,1/4,2/7,1/3,2/5,3/7,1/2,4/7,3/5,2/3,5/7,3/4,4/5,5/6,6/7,1/1,・・・]

 位数nのファレイ数列の長さは,オイラー関数φ(n)を用いて,

  1+φ(1)+φ(2)+・・・+φ(n−1)+φ(n)

 〜3(n/π)^2〜0.30396n^2

になる.この近似はnが大きくなるにつれてよくなっていく.

 0と1の間にある既約分数で分母かnを越えない分数というだけでなく,わざわざ分子まで入れてある理由は,ファレイ数列を拡張させるためである.たとえば,位数5のファレイ数列は

  [0/1,1/4,1/3,2/5,1/2,3/5,2/3,3/4,1/1,5/4,4/3,3/2,5/3,2/1,5/2,3/1,4/1,5/1]

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