■ペリトロコイドからフルヴィッツ曲線へ(その13)
【補4】平行曲線
ある曲線に対して,その曲線上の各点より法線方向へ一定の距離にある曲線を「平行曲線」といいます.平行曲線とは鉄道の線路のようなものと考えてもらって差し支えないのですが,直線の場合,それは平行線であり,円の場合は同心円になります.直線と円は曲率が一定の平面曲線で,曲率一定の平面曲線は直線と円に限られます.
直線と円の平行曲線は平面をもれなく覆いつくし,しかも重複なくただ一回だけ覆うという点に注目してみましょう.たとえば,サインカーブの場合も平行曲線とは法線方向に等間隔でずらしたものですが,一定方向にずらしたわけではないので,距離が大きくなると,やがて平行曲線がとんがってしまうところ(特異点)が現れてしまいます.そうなると,平面をただ一回だけ覆いつくすことはできません.
ハイポサイクロイドの平行曲線も特異点をもつ曲線になりますが,ここでは,n尖点ハイポサイクロイド
x=(n-1)cosθ+cos(n-1)θ
y=(n-1)sinθ-sin(n-1)θ
の平行曲線を求めてみます.
dx/dθ=-(n-1)sinθ-(n-1)sin(n-1)θ
dy/dθ=(n-1)cosθ-(n-1)cos(n-1)θ
dy/dx=-{cosθ-cos(n-1)θ}/{sinθ+sin(n-1)θ}
=-2sin(nθ/2)sin{(n-2)θ/2}/2sin(nθ/2)cos{(n-2)θ/2}
=-tan{(n-2)θ/2}
n=4のとき,dy/dx=-tanθ
n=3のとき,dy/dx=-tan(θ/2)
これより,n尖点ハイポサイクロイドの平行曲線は
x=(n-1)cosθ+cos(n-1)θ-rsin{(n-2)θ/2}
y=(n-1)sinθ-sin(n-1)θ-rcos{(n-2)θ/2}
として求められます.
一方,直線族の偏心回転の包絡線として得られた
x=(n-2)acos(nt)+nacos(n-2)t-2Rsint
y=-(n-2)asin(nt)+nasin(n-2)t-2Rcost
は,n=3のとき,
x=acos(3t)+3acos(t)-2Rsint
y=-asin(3t)+3asin(t)-2Rcost
n=4のとき,
x=2acos(4t)+4acos(2t)-2Rsint
y=-2asin(4t)+4asin(2t)-2Rcost
となって,それぞれ,アステロイド
x=acos(3t)+3acos(t)
y=-asin(3t)+3asin(t)
の平行曲線,デルトイド
x=2acos(4t)+4acos(2t)
y=-2asin(4t)+4asin(2t)
の平行曲線,したがって,デルトイドの平行曲線は定幅曲線であることがわかります.
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