■ペリトロコイドからフルヴィッツ曲線へ(その12)
【補3】フルヴィッツのフーリエ級数論と内転形
平面凸集合に関して,周の長さLが一定で面積Aが最大の図形(面積が一定で周の最小な図形)は円であるという事実はよく知られている.その答が円であることは古代ギリシャの時代からよく知られているが,等周問題に厳密な証明が与えられたのは19世紀になってからのことで,シュタイナー(シュタイナー対称化)やシュワルツ,フロベニウスによるものなど,いくつかの証明がある.直観に反して,厳密な証明は簡単ではないのである.
フルヴィッツが20世紀初頭に発表した有名な論文にはフーリエ級数を用いた等周問題の厳密な証明のほか,アステロイドの平行曲線は正三角形の内転形(in-revolvable curve, 凸多角形の各辺に接しながらそのなかで1回転できる卵形線)であることであることなどが証明されている.
この論文からの刺激をうけて,藤原松三郎は一般的な凸多角形の内転形をフーリエ級数論を応用して解析的に研究したこと,それ以後卵形線研究の輝かしい業績が生まれることとなったことを申し添えておきたい.内転形は,凸多角形が正方形の場合は定幅曲線(curve of constant breadth)に他ならず,定幅曲線の概念の拡張になっている.定幅曲線は平行な支持線間の距離が一定な卵形線,すなわち,いかなる方向に対しても等しい幅をもっている図形である.
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