■ペリトロコイドからフルヴィッツ曲線へ(その8)
【4】まとめ
ロータリーエンジンにはくびれ構造ゆえの問題も多々あり,基礎から見直す機会は大変重要である.ステーター外形の定式化については,近似的な解とみなされた初期のペリトロコイドモデル
x=a・cos(αt) + b・cos(βt)
y=a・sin(αt) + b・sin(βt)
の精確性・最適性が増すにつれて,徐々に複雑なものとなってしまい,最終的には
x=a・cos(αt) + b・cos(βt) +c・cos(γt) + d・cos(δt)
y=a・sin(αt) + b・sin(βt) +c・sin(γt) + d・sin(δt)
の形となって,エレガントさは失われてしまったかのように見えた.しかし,よくよく鑑賞してみるとそれは直線と円,ハイポサイクロイドの平行曲線などを表していて,その美はいささかも損なわれていないことがおわかりいただけるであろう.
直線と円以外の平行曲線は必ず特異点を生ずるが,スタジアム型は円と直線のごく自然な組み合わせからなり,最も自然な曲線のひとつと考えてよいだろう.ペリトロコイドへの固執を断ち切り,これが新しい知見のトリガーになれは幸甚である.
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