■ペリトロコイドからフルヴィッツ曲線へ(その4)

【3-a】直線族の包絡線

ロータリーエンジンのローター曲線はペリトロコイド曲線に内接し,ペリトロコイド曲線を(n−2)公転について,公転とは逆方向に1回自転させるというステップにより求めることができる.このことより,あらかじめ与えられた正n角形の枠を(n−2)公転について1回自転させれば,正n角形に内接しながら回転することができる円以外の凸閉曲線が得られるのではないかという発想が浮かぶ.

そこでまず,原点を中心とする半径aの円周上を等速で公転する点Pがあり,点Pを中心として,そこから距離Rにある直線を等速で自転させることを考える.その際,

[1] 点Pを反時計回りに公転させながら,直線を時計回りに自転させる

[2](n−2)公転について1回自転させる

ことによって得られる直線族を求めてみる.→別解のほうがスマート

初期条件において,x軸上にある点Pが

(acos(n-2)θ, asin(n-2)θ)

に移動したとき,x軸に平行な線分の傾きは

tan(-θ)

となる.この直線の方程式を

y=mx+c, m=-tanθ

とおくと,点Pから直線までの距離はRであるから

asin(n-2)θ-macos(n-2)θ-c=R(1+m^2)^1/2

が成り立つ.

こうして,直線族の方程式は

y=(-tanθ)x+asin(n-2)θ+atanθcos(n-2)θ-R(1+tan^2θ)^1/2

より

f(x,y)=xsinθ+ycosθ−asin(n-1)θ+R=0・・・(1)

と表される.

∂f/∂θ=xcosθ-ysinθ-(n-1)acos(n-1)θ=0・・・(2)

ここで,

(1)×cosθ-(2)×sinθ

=y-acosθsin(n-1)θ+Rcosθ+(n-1)asinθcos(n-1)θ=0

(1)×sinθ+(2)×cosθ

=x-asinθsin(n-1)θ+Rsinθ-(n-1)acosθcos(n-1)θ=0

より,

x=asinθsin(n-1)θ+(n-1)acosθcos(n-1)θ-Rsinθ

y=acosθsin(n-1)θ-(n-1)asinθcos(n-1)θ-Rcosθ

係数を整数にするために2倍して整理すると,包絡線の方程式は媒介変数表示の形で,

x=(n-2)acos(nθ)+nacos(n-2)θ-2Rsinθ

y=-(n-2)asin(nθ)+nasin(n-2)θ-2Rcosθ

と求められる.

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別解

x軸に平行な直線(x=t,y=-R)を(n−2)公転について1回自転させてみる.その際,公転と自転の向きを逆方向にとると,

[X]=[cosθ, sinθ][x]+[acos(n-2)θ]

[Y]=[-sinθ, cosθ][y]+[asin(n-2)θ]

すなわち,その運動族は

X=tcosθ-Rsinθ+acos{(n-2)θ}

Y=-tsinθ-Rcosθ+asin{(n-2)θ}

で表される.

その包絡線を得るために

(∂Y/∂t)(∂X/∂θ)-(∂X/∂t)(∂Y/∂θ)=0

を計算すると

t=(n-2)acos(n-1)θ

係数を整数にするために2倍して整理すると,包絡線の方程式は媒介変数表示の形で,

x=(n-2)acos(nθ)+nacos(n-2)θ-2Rsinθ

y=-(n-2)asin(nθ)+nasin(n-2)θ-2Rcosθ

と求められる.これは,n=4のとき,デルトイド

x=2acos(4θ)+4acos(2θ)

y=-2asin(4θ)+4asin(2θ)

の平行曲線,n=3のとき,アステロイド

x=acos(3θ)+3acos(θ)

y=-asin(3θ)+3asin(θ)

の平行曲線になっている.→【補4】

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