■円定理のいろいろ(その6)
シュタイナ−は14才まで読み書きを習わなかったのですが,有名な教育者ペスタロッチのもとで学ぶやいなや,すっかり数学の虜になり,多くの美しい定理を発見しました.
そのひとつが,シュタイナーの定理
「小円を大円の内部におき,この2つの円の中間に次々に接する円列を作る.たいていの場合,最後の円は重なってしまい,この円列は互いに接する円環をなさない.しかしときとして完全な円環をなす場合がある.このとき,最初の円をどこに選ぼうとも完全な円環をなす.」です.
シュタイナーが考えた証明法は,最初の2つの小円と大円を反転して,2つの同心円に変換するというものです.しかし,驚くべきはこれだけではなく,完全な円環をなす場合,
[1]円鎖の中心を結ぶとある楕円上に並ぶ
[2]円鎖同士の接点はある円上に並ぶ
===================================
反転によって,接する2円は接する2円か,円とその接線か,平行な2直線のいずれかにに移る.また,平面上の交わらない2つの円を同心円に移す写像が存在する.シュタイナーやソディーの定理はこれらの事実に基づいて証明されるのである.反転の応用について補足しておきたい.
接する円の族に関する定理では何百という美しい定理があるが,シュタイナー円鎖について述べておきたい.小円を大円の内部におき,この2つの円の中間に次々に接する円列を作る.たいていの場合,最後の円は重なってしまい,この円列は互いに接する円環をなさない.しかしときとして完全な円環をなす場合がある.これがシュタイナー円鎖である.
最も簡単なものとしては,たとえば,半径が3と1の同心円に対しては6個の単位円よりなるシュタイナー円鎖が存在し,円の中心の軌跡は半径2の円となる(円の最密充填).シュタイナー円鎖をなす円の中心の軌跡は楕円となる.
アルキメデスのアルベロス(靴屋のナイフ)円列はシュタイナーの円鎖の特別な場合になっていて,円の中心はすべて基線上に長径をもつ楕円の上にのっている.この円列の円の中心から基線までの距離は半径の2倍,4倍,8倍,・・・となる(パッポス).
===================================