■加減法(その14)
ヴィエタの無限積は
2/π=√2/2・√(2+√2)/2・√(2+√(2+√2))/2・√(2+√(2+√(2+√2)))/2・・・
これはオイラーが見つけた無限積の公式
sinx/x=cos(x/2)cos(x/4)cos(x/8)・・・
にx=π/2を代入することで簡単に証明できる。
sinx/x=cos(x/2)cos(x/4)cos(x/8)・・・は
1/(1-x)=(1+x)/(1-x^2)=(1+x)(1+x^2)/(1-x^4)=(1+x)(1+x^2)(1+x^4)/(1-x^8)=・・・
を思い起こさせる。
すなわち割り算をいくつかの掛け算に置き換えるというものである。
ついには無限積となり
Π(1+x^2^k)=1/(1-x)=1+x+x^2+x^3+・・・
が成り立つ。
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それでは,任意のxに対して,無限積公式
sinx/x=cosx/2cosx/4cosx/8・・・
を示しておこう.
(証明)
sinx=2sinx/2cosx/2
=4sinx/4cosx/4cosx/2
=8sinx/8cosx/8cosx/4cosx/2
・・・・・
=2^nsinx/2^ncosx/2^n・・・cosx/2
書き直すと
sinx=x[sin(x/2^n)/(x/2^n)]cosx/2・・・cosx/2^n
ここで,n→∞のとき,
sin(x/2^n)/(x/2^n)→1
であるから,sinxの無限積表示
sinx=xΠcosx/2^n
=x(1−x^2/π^2)(1−x^2/4π^2)(1−x^2/9π^2)・・・
が得られる.この結果は,sinxがx=0,±π,±2π,±3π,・・・のとき,0になることに一致している.
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[補]正弦積分とは,
Si(x)=∫(0,t)sint/tdt
=x−x^3/3・3!+x^5/5・5!−・・・
として定義される特殊関数(初等関数によって表し得ない関数)である.また,その特殊値
Si(∞)=∫(0,∞)sint/tdt=π/2
は,ディリクレ積分と呼ばれる.
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