■加減法(その11)
コラム「メビウスのふるい(その3)」に掲げた
xy==1/4{(x+y)^2−(x−y)^2}
は計算尺などが使われていた時代を思い起こさせる.
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16世紀の終わり頃,デンマークの数学者ヴィティヒ,ドイツのクラヴィウスは三角表を使ってかけ算を簡略化する方法を提案した.
sinA・cosB=1/2・sin(A+B)+1/2・sin(A−B)
たとえば,0.17365×0.99027を計算するには,三角表を使って
0.17365=sin10°
0.99027=cos8°
sin18°=0.30902
sin2°=0.03490
1/2・(sin18°+sin2°)=0.17196
0.17365×0.99027=0.17196
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対数表の出現により,1より大きい数のかけ算が可能になり たとえば,2.828×5.657を計算するには,対数表を使って
log22.828=1.5
log25.657=2.5
log22.828+log25.657=4
2.828×5.657=2^4=16
対数
logXY=logX+logY
の出現により,かけ算を足し算に変換できるようになり,加減法は廃れたが,三角恒等式を使った計算は第2次大戦中,照準計算に使われたという話を(その2)に書いた.一種のアナログ・コンピュータだったというわけである.
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