■スー・モース数列(その7)

【1】スー・モース数列(1)

スー・モース(Thue-Morse)数列は,非周期的自己相似数列である.

[1]0,1,2,3,4,5,6,7,・・・を2進数表記すると,

  0,1,10,11,100,101,110,111,・・・  

[2]数字の総和を2で割った余りを計算すると

  0,1,1,0,1,0,0,1,・・・

これはスー・モース数列と呼ばれるもので,この数列に自己相似という性質がある.たとえば,この数列をひとつ置きに選んでも同じ数列が得られる.最初の2つの数字を選ぶ,次の2つの数字を捨てるという操作を繰り返しても同じ数列が得られる.すなわち,この数列は非周期的ではあるが,まったくランダムではなく,強固な短期的・長期的構造をもっていて,同じ数字が3つ以上続くことはない.

nを2進展開したとき,現れる1の個数が奇数の場合tn=1,現れる1の個数が偶数の場合tn=0と定める.たとえば,n=23では

  23=(10111)2→t23=0

 したがって,スー・モース数列{tn}は

  0,1,1,0,1,0,0,1,

  1,0,0,1,0,1,1,0,

  1,0,0,1,0,1,1,0,

  0,1,1,0,1,0,0,1,・・・

 ここには明確な回文構造が見られます.すなわち,先頭から2^n項があるとき,ビット単位に1と0を入れ替え,数列の後ろに連結します.すなわち, この数列に,部分列に各ビットの否定をとった部分列を付加すると

  0

  01

  0110

  01101001

のように再帰的に構成できる.

[3]各世代は前の世代にその補数を加えればよい.たとえば,0110の補数は1001であるから

0110+1001→01101001

[4]この数列を生成する別の方法もある.簡単な置換則

  0→01,1→10

をもとに非周期的で再帰的に計算可能な数列を生成してみる.0から始めると

  →01

  →0110

  →01101001

  →0110100110010110

  →01101001100101101001011001101001

このような置換則はフラクタル幾何学でしばしば用いられますから,ご存知の方も多いと思います.リンデンマイヤー・システムと呼ばれる成長則です。

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