■シュナイダーの四指数予想(その4)

【3】ζ(2)の無理数性

 まったく同じ論法を用いて,ζ(2)の無理数性も示すことができます.

  ζ(2)=Σ1/n^2=3Σ1/n^2(2n,n)

  5/ζ(2)=3+1^4/(3+)2^4/(25+)n^4/(11n^2+11n+3)+・・・

  (n+1)^2un+1=(11n^2+11n+3)un+n^2un-1

  an=Σ(n,k)^2(n+k,k)

  bn=Σ(n,k)^2(n+k,k)^2c

  c=2Σ(-1)^(m-1)/m^2+Σ(-1)^(n+m-1)/m^2(m,n)(n+m,m)  

  α=(11+5√5)/2={(1+√5)/2}^5はx^2−11x−1=0の根(黄金比φを用いると,φ^5=3φ+2)

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【4】まとめ

 興味深いのは,アペリの証明が最先端の研究結果を使ったものではなく,オイラーが解決していたとしても不思議はないとされるような200年前にはすでにわかっていた定理や手法のみでの証明だったことです.

 ζ(3)が無理数であるという証明が発表されたとき,学会場はどよめきの渦に包まれ騒然となったそうですが,アペリは非常に話し下手であり,参加者の多くは半信半疑というよりは懐疑的であったと伝えられています.ポールテンも信じていない方の聴衆のひとりでした.

 アペリはマイナーな数学者とされていますが,今から考えると当時主流だった秀才数学者集団,ブルバキに押しつぶされた個性豊かな人物だったようです.

 ζ(3)はいまだ無理数であることしかわかっておらず,オイラーによる

  ζ(3)=2π^2/7log2+16/7∫(0,π/2)xlog(sinx)dx

という結果(log2の有理式×π^2)があるばかりです(1772年) .

 いまだζ(3)が超越数であるかどうかは知られていませんし,ζ(5),ζ(7),・・・が有理数なのか無理数なのかもわかっていません.アペリの方法はζ(5),ζ(7),・・・の場合の拡張されるに至っていないのです.

 なお,ζ(2n+1)は有理数と円周率から四則演算によって得られる数ではないだろうと予想されていますが,証明されてはいません.また,log2を含むであろうと推測されています.

[補]エルデシュ数:Σ1/(k!+1)=1.526068・・・

   カタラン数 :Σ(−1)^k-1/(2k−1)^2=0.915965・・・

   オイラー数 :lim(Σ1/k−lnn)=0.577215・・・

の無理数性は依然として不明である.

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