■因数分解の達人(その8)

Mathematicaに「x^4+1を因数分解せよ」と入力しても「因数分解できません」と返ってきた.x^4+2,x^4+3も同様である.ところが,x^4+4に対しては

  x^4+4=(x^2+2x+2)(x^2−2x+2)

という結果が返ってきて驚かされた.さらに,x^4+5,x^4+9,x^4+16,x^4+25,・・・と試みても「因数分解できません」という結果であったが,根気強く続けて,x^4+64では

  x^4+64=(x^2+4x+8)(x^2−4x+8)

とうまくいった.・・・数式処理システムの効用についてのエピソードである。

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 よくよく理由を考えてみると,一般式

  (x^2+c)^2−(bx)^2=x^4+(2c−b^2)x^2+c^2

 =(x^2+bx+c)(x^2−bx+c)

において,2c=b^2の特別な場合になっていること.また,この変形はあまりに技巧的で高校数学のカリキュラムからも消えているのだが,それを数式処理システムを使って発見的に得ることができたことなど,数式処理システムの効用についてのエピソードであるが,数式処理システムが数学研究のみならず,数学教育にも有効と考えられる所以である.

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