■ありやなしや(その71)
【1】p進数
有限体の話とよく似た例にp進数があります.p進数は,有理数から実数とは違う方向に枝分かれした数といってもよい数体系なのですが,たとえば,7進数の世界では
1+7+7^2+7^3+・・・=−1/6
2進数では
1+2+2^2+2^3+・・・=−1
が正しいのです.正数の総和が負になって、一見して目がくらんでしまいますが,別に冗談をいっているのではありません.
また,有限体の場合と同様,p進数を係数とする方程式を考え,その根をどんどん新しい数としてつけ加えていくと,ついにはどんな方程式からもそれ以上新しい根がでないような数の体系にいきつきます.
有限体とかp進数とか,どちらもpが素数のとき体をなすのですが,われわれの知らない数はまだまだあるのです.
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【2】p進数体Qp
ところで,「互いに素な整数a,bに対する平方の和a^2+b^2は3で割れない.」はx^2+y^2=3が3進数体Q3上で解をもたないことを証明したことにほかなりません.
素数pをあらかじめ決めておいて,aを素因数分解します.pのベキ乗部分を分離して,
a=p^n・b/c
とするとき,
|a|p=p^(-n)
という式によって,aの新しい絶対値を決めます.例えば,p=3としておくと
|18|3=|2・3^2|3=3^(-2),|19|3=1,
|13/18|3=|3^(-2)・13/2|3=3^2
などとなります.
以上で定義した素数pごとに定まる絶対値をp進付値といいます.p進付値は普通と違って,p^nはnが大きくなるとゼロに近づきます.すなわち,p進数的に小さいとは,それが高いベキで割り切れるということです.
p進数は19世紀にヘンゼルによって導入された非アルキメデス的数体系で,有理数体Qを||pで完備化して得られます.p進数の集合は
Qp={a-np^(-n)+・・・+a0+a1p+a2p^2+・・・+anp^n}
0≦ai≦p−1
と書けるのですが,これらの数の中で四則演算ができますから,体をなすというわけです.
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