■因数分解の達人(その5)

 円分多項式

  Φ1(x)=x−1

  Φ2(x)=x+1

  Φ3(x)=x^2+x+1

  Φ4(x)=x^2+1

  Φ5(x)=x^4+x^3+x^2+x+1

  Φ6(x)=x^2−x+1

  Φ7(x)=x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1

  Φ8(x)=x^4+1

  Φ9(x)=x^6+x^3+1

  Φ10(x)=x^4−x^3+x^2−x+1

  Φ12(x)=x^4−x^2+1

  Φ15(x)=x^8−x^7+x^5−x^4+x^3−x+1

  Φ16(x)=x^8+1

  Φ18(x)=x^6−x^3+1

  Φ24(x)=x^8−x^4+1

  Φ36(x)=x^12−x^6+1

はx^n−1のブロック素材として働くもので,その係数はすべて実数である.その係数は±1に限られるように見えるかもしれないが,Φ105(x)は±1以外の係数が最初に現れる円分多項式である.

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  x^11−1=(x−1)(x^10+x^9+x^8+x^7+x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1)

  x^10+x^9+x^8+x^7+x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1

=Φ2(x)Φ5(x)Φ10(x)

=(x+1)(x^4+x^3+x^2+x+1)(x^4−x^3+x^2−x+1)

と因数分解されるが,係数が実数となる範囲で2次式に因数分解すると,

  x^10+x^9+x^8+x^7+x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1

=Π(x^2−2cos(2kπ/11)+1)  k=1〜5

となる.

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 105=3・5・7より,

  x^106−1=(x−1)(x^105+x^104+x^103+・・・+x^2+x+1)

=(x−1)Φ3(x)Φ5(x)Φ7(x)Φ15(x)Φ21(x)Φ35(x)Φ105(x)

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x^n−1を因数分解するとその係数は±1、0に限られるように見える。

しかしその法則性はn=105で突如崩壊する。

nが異なる奇素数p、qを用いてn=2^a・p^b・q^cと素因数分解するされるときその係数は±1、0に限られることが知られている

そして105は相異なる3つの奇素数の積で表される最小の整数なのである。

n=105では-2が登場するのであるが、驚くべきことに「すべての整数mに対してx^n−1を因数分解した際の係数にmが登場するようなnが存在する(鈴木の定理)

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