■√2に収束する高次分数列(その4)

 aがx^2=2の解ならばa=2/aが成り立ちます.aがいくらか不正確,たとえば過小評価であるならば,2/aは過大評価となります.過小評価と過大評価の中間(算術平均)はaと2/aのいずれよりもよい評価となります.かくして算術平均:

  an+1=1/2(an+2/an)

によって定義される数列は√(2)に収束することになります(ヘロンのアルゴリズム).

 ヘロンのアルゴリズムは,算術平均・幾何平均の不等式

  (a+b)/2≧√ab

において,b=2/aの場合となっています.

  1/2(a+2/a)≧√2

 また,この場合,2の平方根をニュートン法x:=x-f(x)/f'(x)で求めるのと同じことになります.ニュートン法の幾何学的意味は「初期値x0における関数の勾配を求めて,接線とx軸の交点を求める.この点において,同様の作業を行うとxは順次解に近づいていく.」と解釈されます.

 a=p/qから始めることにすると

  1/2(a+2/a)=(p^2+2q^2)/2pq

  p/q→(p^2+2q^2)/2pq

  p/q→(p+2q)/(p+q)

は1次分数列でしたが,

  p/q→(p^2+2q^2)/2pq

は2次分数列になっています.

 さらに,高次分数列

  p/q→(p^3+6pq^2)/(3p^2q+2q^2)

  p/q→(p^4+12p^2q^2+4q^4)/4pq(p^2+2q^2)

  p/q→(p^5+20p^3q^2+20pq^4)/(5p^4q+20p^2q^3+4q^5)

  p/q→(p^6+30p^4q^2+60p^2q^4+8q^6)/(6p^5q+40p^3q^3+24pq^5)

は驚異的なスピードで√2に近づきます.

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