■中国剰余定理(その13)

 60は2でも3でも4でも5でも6でも割り切れる(被整除性)ところから,メソポタミア文明では60進法の基数となった.それでは2で割ると1,3で割ると2,4で割ると3,5でで割ると4,6で割ると5余る数は何か.

 もしも,中国剰余定理を使って計算するならば・・・

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  x=1  (mod2)

  x=2  (mod3)

  x=3  (mod4)

  x=4  (mod5)

  x=5  (mod6)

を計算しよう.

x=x1+2x2+6x3+24x4+120x5とおいて,最初の式に代入する.→x1+2x2+6x3+24x4+120x5=x1=1  (mod2)→x1=1がこの合同式の解である.

→x=1+2x2+6x3+24x4+120x5を2番目の式に代入する.→1+2x2+6x3+24x4+120x5=1+2x2=2  (mod3)→2x2=1  (mod3)→x2=2がこの合同式の解である.

→x=5+6x3+24x4+120x5を3番目の式に代入する.→5+6x3+24x4+120x5=5+6x3=3  (mod4)→6x3=−2  (mod4)→x3=1がこの合同式の解である.

→x=11+24x4+120x5を4番目の式に代入する.→11+24x4+120x5=11+24x4=4  (mod5)→24x4=−7  (mod5)→x4=2がこの合同式の解である.

→x=59+120x5を5番目の式に代入する.→59+120x5=59=5  (mod6)

→この計算は不要であった.

 中国剰余定理より連立合同式の解はx=59となる.

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[Q]7も含めればどうなるか.

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  x=1  (mod2)

  x=2  (mod3)

  x=3  (mod4)

  x=4  (mod5)

  x=5  (mod6)

  x=6  (mod7)

を計算しよう.

x=x1+2x2+6x3+24x4+120x5とおいて,最初の式に代入する.→x1+2x2+6x3+24x4+120x5=x1=1  (mod2)→x1=1がこの合同式の解である.

→x=1+2x2+6x3+24x4+120x5を2番目の式に代入する.→1+2x2+6x3+24x4+120x5=1+2x2=2  (mod3)→2x2=1  (mod3)→x2=2がこの合同式の解である.

→x=5+6x3+24x4+120x5を3番目の式に代入する.→5+6x3+24x4+120x5=5+6x3=3  (mod4)→6x3=−2  (mod4)→x3=1がこの合同式の解である.

→x=11+24x4+120x5を4番目の式に代入する.→11+24x4+120x5=11+24x4=4  (mod5)→24x4=−7  (mod5)→x4=2がこの合同式の解である.

→x=59+120x5を5番目の式に代入する.→59+120x5=59=5  (mod6)

→この計算は不要であった.(ここまではその36と同じ)

→x=59+120x5を6番目の式に代入する.→59+120x5=6  (mod7)→120x5=−53  (mod7)→x4=3がこの合同式の解である.

 中国剰余定理より連立合同式の解はx=419となる.すなわち,

  419=60・7−1

は2,3,4,5,6,7で割ったとき,n−1が余りとなる.

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[まとめ]ここでは面倒な計算を行ったが,実はこの問題は計算してはいけないものである.

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