■パデ近似(その10)

連分数は関数を近似するときにも有効である。

tanzの連分数から2次近似

  tanz=z(15-z^2)/(15-6z^2)

が得られる。z=π/4のとき、0.9998となるが、

tanz=z+z^3/3+z^5/5ではこれよりも32倍も大きい誤差を生じる。

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誤差積分の連分数近似

∫(0,z)exp(-x^2)dx=(49140+3570z^3+739z^5)/(49140+19950z^2+2475z^4)

はz=2に対して1.2%の誤差であるが、z^9までのベキ級数展開では正しい値より110%も大きくなる

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【1】パデ近似

 

 多項式近似では良い精度が得られない場合,有理式近似が良い結果を与えてくれることがある.

  Φ(x)≒{1-exp(-2x^2/π)・f(x)}^(1/2)

において,多項式f(x)が

  f(x)=Σ(-1)^k・a2k・x^(2k)

  a2k=1/k!2^k・4/π∫(0,π/4)(sec^2θ-π/4)^kdθ

で与えられることはわかっている.

 

 このベキ級数をあらためて,

  f(x)=Σci・x^i

と書くことにするが,パデ近似とは,p次多項式p(x)とq次多項式q(x)からなる有理式p(x)/q(x)をとり,

  p(x)-q(x)Σci・x^i=Σdi・x^i

の右辺の係数{di}の最初のほうが,できるだけ多く0になるとき,p(x)/q(x)をf(x)の(p,q)-パデ近似という.

 多項式f(x)は偶関数なので,p(x),q(x)はともに偶関数とする.ちなみに,奇関数のときはp(x)は奇関数,q(x)は偶関数とする.

 

 その手順はプログラム化されているらしく,(p,q)=(4,2)として得られた結果が,Williams=山内の近似式:

  Φ(x)≒[1-exp(-2x^2/π){1+x^4(0.0055+0.0551/(x^2+14.4)}]^(1/2)

であると思われる.

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