■オイラーの素数生成公式とラビノヴィッチの定理(その20)
オイラーは,素数をかなりの確率で生成する公式n^2+n+41を発見しています.この公式はn=0のとき素数41,n=1で素数43,n=2で素数47を与えます.このようにしてnが0から39までのどのnをとってもオイラーの公式はすべて素数を与えます.
オイラーの公式はn=40で1681=41^2 となって破綻しますが,1000万以下のnに対して47.5%の確率で素数を生成します.この事実を確認するのは簡単ですが,しかしオイラーはどうやってこんな事実を見つけだしたのでしょうか.また,そうなる真の理由は何でしょうか.
ウラムは自然数を四角いらせん状に配列させるとn^2+n+41型の素数の多くはその対角線上に分布していることを確認しました.ランダムに分布しているように見える素数が四角い渦巻きの対角線上に規則的に分布していたことは驚くべきことです.ウラムは,また,1000万以下のnに対して4n^2+170n+1847が46.6%,4n^2+4n+59が43.7%の確率で素数を生み出すことを突き止めています.
オイラーの公式n^2+n+41のnをn−1に変換すればn^2−n+41,n−40に変換すればn^2−79n+1601が与えられます.1変数の2次多項式ではn^2+n+17や2n^2+29なども高い確率で素数を生成します.
ウラムは1を格子の中央に書き込んで、らせん状に連続する整数を書き込んだ。そのらせんに現れる素数は面白いパターンを生み出すことに注目した。
41を格子の中央に書き込んで、らせん状に連続する整数書き込み、40x40の正方形格子が得られる。対角線に入っている数はすべて素数になる。
これらは、オイラーの2次式で与えられる素数とまさにおなじものである。
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それでは,多変数の高次多項式ではどうでしょうか.
1971年,旧ソ連のマチアセビッチは,素数全体をあるひとつのディオファントス方程式の解として表すことにも成功しています.すなわち,すべての素数をつくる式を生み出したことになるのですが,その式は37次で24個の変数をもつ多項式と21次で21個の変数をもつ多項式でした.
これらの多項式は負の値もとり,また,素数は多項式の値として繰り返し出現します. すべての素数をもれなくつくり,しかも素数以外はつくらない公式は知られていません.素数を完全に定義する式が存在することは証明されていませんし,存在しないともわかっていません.
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