■七円定理のいろいろ(その1)

 ソディー(アイソトープの発見でノーベル賞を受賞した英国の化学者)の6球連鎖はシュタイナー円鎖の3次元版であるが,シュタイナー円鎖の場合とは異なって,球連鎖は常に繋がり必ず6個の球からなる.そして6個の球の中心,球同士の接点はすべて同一平面上にあるのである.

 その意味では,7円定理の3次元版である.

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【1】7円定理

まず,ひとつの円を描きその周りに6個の円を並べる.それら6つの円はどんな大きさでもよい(直線でもよい)が両隣の円および最初の円に接するようにする.

 このように6個の連結した円の鎖がひとつの円に外接しているとき,6つの円が最初の円に接している接点のうち,相対する点同士を結ぶ3本の直線は1点で交わる.

「大円に内接し,それぞれの円も両側の円に接する6つの円を描く.大円上にある6個の接点は3対に分けられるが,その3対の2点を直線で結ぶと,3直線はつねに1点で交わる.」

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【2】ソディーのhexlet(6球連鎖)

 ソディーの定理(1936年)とは「半径a,b,cなる互いに接する3個の球K1,K2,K3のどれにも接する球Siの鎖の数は,常に6個となり,球の半径の逆数をρi (i=1~6)とすると

  ρ1+ρ4=ρ2+ρ5

が成立する」というものである.

 この定理も100年以上も前に和算家が得ていたものであるが,これには4個の互いに接する球に関するデカルトの定理

  (Σ1/ri)^2=3Σ(1/ri)^2

が使われている.ソディーは同位元素の研究でノ−ベル化学賞を受賞した化学者であるが,彼もまたデカルトの定理を再発見したのである.

 とくに,球K1(r)内に互いの外接する2個の等しい球K2(r/2),K3(r/2)が内接していて,それらに外接する6個の等しい球S1-6がループを作っているとき,その半径はr/3となる.

 また,半径Rの球に正四面体をなすように互いに外接する4個の半径の等しい大球(半径r1)を内接させる.正四面体の各面の中心の隙間に4個の中球(半径r2),その隙間に12個の小球(半径r3)をおくと,6個の内接球r1r2r3r3r2r1のループができる.このとき

  r1=(√6−2)R,

  r2=(√6−2)R/5,

  r3=(3√6−2)R/25

を得るが,これは10才の少年により提出された和算の問題だそうである.有名なソディーと無名の10才の少年・・・.

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