■逆問題(その1)
太鼓の形からどのような音が出るのかを推定する問題に対して、音(膜の振動)の情報から太鼓の形がわかるだろうか?(太鼓の音を聴けばその形がわかるか?)あるいは、音波が物体にあたって反射した際の散らばり方から物体の形を調べることは可能だろうか?
逆問題は工学や医学など様々な面に現れ,実用上大切な問題ですが,数学的にはまだ十分解明されていない問題であるといえます.一般に、準問題が簡単だからといって、その逆問題は容易とは限りません。例として簡単な逆問題を取り上げてみます。
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【1】コペルニクスの定理
(Q)固定された円の内部に直径が1/2のもう一つの円が入っているとする.小さい円が大きい円に内接し滑ることなく大きい円に沿って回転すると,動円上の定点はどのような軌跡を描くか?
(A)答えは驚くほど単純で「固定円の直径」上を往復で直線運動するのです.この結果は円周角の定理より正しいことが確かめられます.コペルニクスの定理と呼ばれているのですが,運動学的には回転運動を直線運動に変換する変換器であり,リンク機構(蝶番つき平行四辺形)を使って実現されます.
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ここで、主従を逆転させてみます。
(Q)大円(半径R)の内部に半径r=R/2の小円が入っているとする.大きい円(動円)が固定された小さい円(定円)に接しながら滑ることなく小さい円に沿って回転すると,大円上の直径の両端はどのような軌跡を描くか?
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