■非周期的タイル集合(その14)
杉本晃久さんより興味深い連絡が届いた…
ついにaperiodic monotile(1種類の多角形で,非周期にしかタイル張りができない多角形タイル)が見つかったようです.それもペンローズタイルのような特別なマッチングルールをもない凹多角形です.
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杉本晃久さんより・・・
論文「An aperiodic monotile https://arxiv.org/abs/2303.10798 」のFigure 2.11のH7やH8を元につくったラスタを利用すると,「周期的な模様のベルトが作れて,そのベルトの幅をいくらでも大きくできる」と推測した.
図はファイル容量が大きいので,下記のGoogleドライブにアップしてある.
https://drive.google.com/drive/folders/1yobX7J03EnrCAironLBiObdCgwMKrWJ7?usp=sharing
まず,論文のFigure 2.11の置換方法でタイリングを作ったのが,「aperiodic_monotile_hat_Fig2.11_substitution.png」である.
図の1段目:
*H7とH8.
図の2段目:
*1個のH7と5個のH8を組み合わしてクラスタを形成し,C6(1)とする.
*1個のH7と6個のH8を組み合わしてクラスタを形成し,C7(1)とする.
図の3段目:
*1個のC6(1)と5個のC7(1)を組み合わしてクラスタを形成し,C6(2)とする.
*1個のC6(1)と6個のC7(1)を組み合わしてクラスタを形成し,C7(2)とする.
図の4段目:
*1個のC6(2)と5個のC7(2)を組み合わしてクラスタを形成し,C6(3)とする.
*1個のC6(2)と6個のC7(2)を組み合わしてクラスタを形成し,C7(3)とする.
ここからは,ベルトの話.
まずは,「aperiodic_monotile_hat_D4(1)_BeltD4(1).png」に関して,以下のことを確認した.
*1個のC7(1)と3個のC6(1)を組み合わしてクラスタを形成し,D4(1)とする.
*D4(1)は横方向に重なりや隙間なく繰り返して配置ができる.
*D4(1)の繰り返しで形成したベルトを,BeltD4(1)とする.このベルトは無限の長さが許される.
*BeltD4(1)は縦方向に並べると,(2個の凸五角形分の)重なりが必ずできる(赤丸内を参照).
*したがって,D4(1)は並進ユニット(並進のみで周期タイリングを生成するユニット)ではない.
次に,「aperiodic_monotile_hat_D4(2)_BeltD4(2).png」に関して,以下のことを確認した.
*1個のC7(2)と3個のC6(2)を組み合わしてクラスタを形成し,D4(2)とする.
*D4(2)は横方向に重なりや隙間なく繰り返して配置ができる.
*D4(2)の繰り返しで形成したベルトを,BeltD4(2)とする.このベルトは無限の長さが許される.
*BeltD4(2)は縦方向に並べると,(1個のH8と2個の凸五角形分の)重なりが必ずできる(赤丸内を参照).
*したがって,D4(2)は並進ユニットではない.
さらに「aperiodic_monotile_hat_D4(3)_BeltD4(3).png」関して,以下のことを確認した.
*1個のC7(3)と3個のC6(3)を組み合わしてクラスタを形成し,D4(3)とする.
*D4(3)は横方向に重なりや隙間なく繰り返して配置ができる.
*D4(3)の繰り返しで形成したベルトを,BeltD4(3)とする.このベルトは無限の長さが許される.
*BeltD4(3)は縦方向に並べると,(1個のC7(1)と1個のH8と2個の凸五角形分の)重なりが必ずできる(赤丸内を参照).
*したがって,D4(3)は並進ユニットではない.
そして「aperiodic_monotile_hat_D4(4)_BeltD4(4).png」関して,以下のことを確認した.
*1個のC7(4)と3個のC6(4)を組み合わしてクラスタを形成し,D4(4)とする.
*D4(4)は横方向に重なりや隙間なく繰り返して配置ができる.
*D4(4)の繰り返しで形成したベルトを,BeltD4(4)とする.このベルトは無限の長さが許される.
*BeltD4(4)は縦方向に並べると,(1個のC7(2),1個のC7(1),1個のH8と2個の凸五角形分の)重なりが必ずできる(赤丸内を参照).
*したがって,D4(3)は並進ユニットではない.
ここでnを1以上の整数とする.以上から,nが4以上でも,以下のことが成り立つのではと推測した.
*1個のC7(n)と3個のC6(n)を組み合わしてクラスタを形成し,D4(n)とする.
*D4(n)は横方向に重なりや隙間なく繰り返して配置ができる.
*D4(n)の繰り返しで形成したベルトを,BeltD4(n)とする.このベルトは無限の長さが許される.
*BeltD4(n)は縦方向に並べると,(1個のC7(n-2),1個のC7(n-3),・・・,1個のC7(1),1個のH8と2個の凸五角形分の)重なりが必ずできる.
*したがって,D4(n)は並進ユニットではない.
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nを無限大とするBeltD4(n),すなわちBeltD4(infinity)はタイリングとみなされるのではないかと考える.
BeltD4(infinity)がタイリングであるならば,それは周期的なものではない.理由は,BeltD4(infinity)には,少なくとも縦方向の周期構造がないことは明らかである (タイリングが周期的であるのは,2つの線形独立なベクトルによる並進と一致する場合であることに注意する).
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