■階乗・二項係数の問題(その14)

(Q)(a+b)^nの二項展開の係数は,nが2^k−1の形であるとき,そのときに限りすべて奇数となることを証明せよ.

(A)(a+b),(a+b)^2,・・・,(a+b)^n-1に対して成り立っていると仮定して,(a+b)^nに対しても成り立つことを証明する.

 両端の1を除くn−1個の二項係数は

  n/1=n,n(n−1)/1・2,・・・,n(n−1)・・・1/1・2・・・(n−1)=n

 これらがすべて奇数であるための必要十分条件は

[1]両端のnが奇数であること

[2]残りの数の分母、分子から奇数を取り去って作られる数が奇数であることである.

 n=2m+1とおけば,これらの数は

  m/1=m,m(m−1)/1・2,・・・,m(m−1)・・・1/1・2・・・(m−1)=m

で表される.m<nであるから,このm−1個の数はmが2^k-1−1の形であるとき,そのときに限りすべて奇数となる.

  n=2m+1=2(2^k-1−1)+1=2^k−1

より,QED.

===================================

[1]n=pのとき,nCmはpの倍数である

 両端nC0=nCn=1ですから,両端以外のnCm(1≦m≦n−1)について考えます.n=pのとき

  pCm=p!/m!(p−m)!

1≦m≦p−1,1≦p−m≦p−1より,分母は素因数pを含んでいない.よって,pCmはpの倍数である.

[2]n=2^kのとき,nCmは偶数である

  (a+b)^2=a^2+{係数が偶数の項}+b^2

  {(a+b)^2}^2=a^4+{係数が偶数の項}+b^4

  {(a+b)^4}^2=a^8+{係数が偶数の項}+b^8,・・・

数学的帰納法より,nCmは偶数である

[3]n=2^k−1のとき,nCmは奇数である

 [2]より,n+1Cmは偶数である.

  n+1Cm=nCm-1+nCm

  1+nC1=偶数→nC1は奇数

  nC1+nC2=偶数→nC2は奇数,・・・

よって,nCmは奇数である.→2^k個中、偶数の個数0、奇数の個数2^k

 さらに,nCmがすべては奇数になるのは,n=2^k−1のときに限るというのが冒頭の命題です.実際,他の行には偶数があるのですが,

[4]n=2^kのとき,両端以外のnCm,2^k−1個はすべて偶数である→2^k+1個中、偶数の個数2^k-1、奇数の個数2

[5]n=2^k+1のとき,真ん中のnCm,2^k−2個はすべて偶数である→2^k+2個中、偶数の個数2^k-2、奇数の個数4

[6]n=2^k+2のとき,真ん中のnCm,2^k−3個はすべて偶数である→2^k+3個中、偶数の個数2^k-3、奇数の個数6

・・・・・・・・・・・・・・・

[7]n=2^k+1−2=2^k+2^k−2のとき,真ん中のnCm,2^k−(2^k−1)=1個はすべて偶数である→2・2^k-1個中、偶数の個数1、奇数の個数2・2^k-2

[8]nCmがすべては奇数になるのは,n=2^k−1のときだけ

ということになります.

===================================

n=2^k−1〜=2^k+1−2の範囲で、=2^2k

奇数の個数は2^k+2+4+6+・・・+2・2^k-2個=2^2k+2^(2k-1)-2^k-2^(k-1)

2^2k/{2^2k+2^(2k-1)-2^k-2^(k-1)}→2/3

しかし、0.812の由来は不明である

===================================