■三角形についてのある不等式(その6)

(問題)

 任意の三角形に対して

  sinαsinβsinγ≦3√3/8

が成り立つ.

(証明)

  2sinβsinγ=cos(β−γ)−cos(β+γ)

           =cos(β−γ)+cosα

  sinαsinβsinγ

 =1/2sinα(cos(β−γ)+cosα)

 ≦1/2sinα(1+cosα)

x=cosα

f(x)=sinα(1+cosα)=(1-x^2)^1/2・(1+x)

f'(x)=-x/(1-x^2)^1/2・(1+x)+(1-x^2)^1/2

=1/(1-x^2)^1/2・{-x(1+x)+1-x^2}

=-1/(1-x^2)^1/2・(x+1)(2x-1)

x=1/2のとき、f(x)=3√3/8

 これより極大値を計算すると,3√3/8が得られる.なお,この不等式は三角形の外接円,内接円および面積をR,r,△とすれば,

  abc=4R△,(a+b+c)r=2△

また,正弦法則

  a/sinα=b/sinβ=c/sinγ=2R

より,

  abc≦3√3R^3

と同値である.

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(問題)

  sinαsinβsinγ≦(3√3/2π)^3αβγ

 このことから,三角形のブロカールの角ωが,

  8ω^3<αβγ

を満たすことが証明できるという.

 なお,三角形の5心とは内心,傍心,重心,外心,垂心を指しますが,古代ギリシャ人は5心について知っていました.その1500年後,フェルマー点が発見され,さらに1〜2世紀後に9点円の中心,その次がジェルゴンヌ点,19世紀にはいるとナーゲル点やブロカール点などが発見されました.

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