■iのn乗(その5)
代数学の教えるところによれば,n元の体(加減乗除の演算が定義された集合)が存在するための必要十分条件は,nが素数(のベキ乗)になっていることで,位数2,3,4=2^2,5の体は存在するが,位数6=2×3の体は存在しない.そして,位数7,8=2^3,9=3^2の体は存在して,位数10=2×5のものは存在しない.
重要なのは,
「pが素数のとき,Z/pZは体である.」
ということで,素数pで割ったときの余りで分類した数体系を考えると,p個の元からなる有限体ができあがります.そして,素数pに対して定まる有限体をFpと書きます.
F7={0,1,2,3,4,5,6}
はあるが,F6というものは存在しないというわけです.
===================================
また,aをp−1回掛けると1になります.F7において
a\^n 1 2 3 4 5 6
1 1 1 1 1 1 1
2 2 4 1 2 4 1
3 3 2 6 4 5 1
4 4 2 1 4 2 1
5 5 4 6 2 3 1
6 6 1 6 1 6 1
最後の列はすべて1です.
このように,pで割り切れない整数aに対して,フェルマーの定理
a^(p-1)=1 (mod p)
が成り立つというわけです.また,このことからa^(p-2)がaの逆元となることも理解されます.
1/a=a^(p-2)
F7では,
1/3=3^5=5,1/6=6^5=6
なお,この表において,1は1乗してはじめて1になりますが,2は3乗して,3は6乗して,4は3乗して,5は6乗して,6は2乗してはじめて1になります.pと互いに素な整数aがp−1乗してはじめて1になるとき,aを原始根といいます.F7においては3,5が原始根です.
Fpにおける原始根aが与えられたとき,0以外のすべての元は,
a^i (i=0〜p-2)
の形に表すことができます.
===================================