■円の中の円(その2)
【3】オイラー・フース型定理の導出
メビウス変換
w=(z+a)/(az+1)
の逆変換は
z=(−w+a)/(aw−1)
である.
s=(1−sin(π/n))/(1+sin(π/n))
とおくと,
α=−(s+a)/(as+1)
β=(−s+a)/(as−1)
である.
これからsを消去する.第1式より
a=−(s+α)/(αs+1)
第2式に代入すると
β=(s(αs+1)+(s+α))/(s(s+α)+(αs+1))
β(2αs+s^2+1)−α(s^2+1)=2s
2αβs+(β−α)(s^2+1)=2s
ここで,
(α+β)/2=d,(β−α)/2=r
より,
α=d−r,β=d+r
を代入すると
d^2−r^2+r(s+1/s)=1
d^2=r^2−r(s+1/s)+1
大円(半径R),小円(半径r),中心間距離d
では
d^2=r^2−rR(s+1/s)+R^2
これがシュタイナーの定理に対応するオイラー・フース型定理である.
もし,d=0ならば
(r−sR)(r−R/s)=0
となるが,r=R/sは大円と小円が逆転するのでr=sR.また,s<1/sより,rはd=0のとき最大値sRをとる.
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【4】和算に挑戦
「外円内に甲乙乙丙丁の5円が,十字型
(甲)
(乙丁乙)
(丙)
に内外接している.外円の直径は6寸,甲円の直径が2寸のとき,丙円の直径を求めよ」という問題を解いてみよう.この問題は,1830年一関の和算家・千葉胤秀編集の「算法新書」より出典とある.
関係式
d^2=r^2−rR(s+1/s)+R^2
さえ導き出せればあとは簡単で,題意より
d+r=1
n=4のとき,s+1/s=6
d^2=r^2−rR(s+1/s)+R^2=r^2−18r+9
d^2=(1−r)^2=r^2−2r+1
r^2−18r+9=r^2−2r+1
を解くと,
r=1/2,d=1/2,d−r=0
したがって,丙円の直径は外円の半径に等しい. (A)3寸
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これに倣って,円の直径が整数値となる例題をつくってみよう.
n=3のとき,s+1/s=14
n=4のとき,s+1/s=6
n=6のとき,s+1/s=10/3
であるのに対して,
n=5のとき,s+1/s=22−8√5
n=8のとき,s+1/s=14−8√2
n=10のとき,s+1/s=(30−8√5)/5
n=12のとき,s+1/s=30−16√3
となって,後者では円の直径が整数値となる例をつくることは難しいようである.
そこで,n=6の場合を考えるが,たとえば「外円内に甲乙乙丙丙丁の6円が戊円を取り巻いて内外接している.
(甲)
(乙戊乙)
(丙丁丙)
外円の直径は18寸,甲円の直径が3寸のとき,丁円の直径を求めよ」という問題になる.
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