■直観幾何学研究会2023(その12)

パップスの定理もデザルグの定理もパスカルの定理もメネラウスの定理,チェバの定理を用いて証明することができます.

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【1】射影幾何学におけるパップスの定理とデザルグの定理

[1]パップスの定理

 直線上に3点A,B,C,もう一つの直線上に3点A’,B’,C’をとる.AB’とA’Bの交点をP,BC’とB’Cの交点をQ,AC’とA’Cの交点をRとするとき,P,Q,Rは同一直線上にある.

 すなわち,2直線上にすべての頂点がのっている6角形の反対側の位置にある辺同士の交点は同一直線上にあるというのが,射影幾何学におけるパップスの定理である.

 パスカルの定理は円錐曲線が既約でない場合にも成り立つといわけで,これを発見したのもパップスである.直線は無限半径をもつ円であるが,2本の直線からなる退化した円錐曲線を考えれば容易にこの定理にたどりつくであろう.

[2]デザルグの定理

 △ABCと△A’B’C’において,AA’とBB’とCC’が点Oで交わるとする.ABとA’B’の交点をP,BCとB’C’の交点をQ,ACとA’C’の交点をRとするとき,P,Q,Rは同一直線上にある.

 透視図法で移り合う2つの三角形について,対応する辺の交点はすべて1直線上にあるというのがデザルグの定理である.平行でない直線は有限の点で交わるが,平行な直線群は同じ無限遠点で交わる.無限遠直線を導入すると,任意の2直線は必ず交わることになるのである.

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【2】メネラウスの定理とチェバの定理

[1]メネラウスの定理

 直線が△ABCの辺またはその延長と,それぞれP,Q,Rで交わるとき

  AP/PB・BQ/QC・CR/RA=1

が成り立つ.逆に,

  AP/PB・BQ/QC・CR/RA=1

が成り立てば,P,Q,Rは1直線上にある.

[2]チェバの定理

 △ABCの辺またはその延長上にない点Oをとる.頂点A,B,Cと点Oを結ぶ直線が△ABCの辺またはその延長とそれぞれP,Q,Rで交わるとき

  AR/RB・BP/PC・CQ/QA=1

が成り立つ.逆に,

  AR/RB・BP/PC・CQ/QA=1

が成り立てば,AP,BQ,CRは1点で交わる.

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 2つの定理は一見似たような定理ですが,メネラウスの定理は「3点が1直線上にある」ことを,チェバの定理は「3直線が1点で交わる」ことを示しています.

 パスカルの定理から150年以上たって,その双対にある共点定理「円錐曲線の外接する6辺形の対角線は1点で交わる」が発見されたのですが,それがブリアンションの定理です.メネラウスとチェバの生存時期も1500年以上違い,その間何もなされませんでした.不思議さを感じてしまいます.

 なお,射影平面上では点という語と直線という語を入れ替えても定理は成り立っています.これをポンスレーの双対原理と呼び,射影幾何学の最も美しい特質です.

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