■直観幾何学研究会2023(その10)
今回の直観幾何学研究会では射影幾何学的な発表も多く見られた。
たとえば、3点あるいはそれ以上の点が一直線上にあることを主張する定理は共線定理と呼ばれます。たとえば、三角形の外心と重心と垂心はその順番に一直線上に並んでいて、外心と垂心を結ぶ線分が重心によって1:2に内分されています。この共線はオイラー線と呼ばれています。
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ここでは、パスカルの定理とニュートンの定理を紹介します。パスカルもニュートンも、少年時代はみんなパズルずきの幾何少年だったのです。
<ニュートンの定理>
四辺形ABCDの2組の対辺の延長の交点をE,F、対角線BDの中点をL、対角線ACの中点をM、線分EFの中点をNとすれば、3点L,M,Nは一直線上にある。
<パスカルの定理>6角形定理
円錐曲線、すなわち楕円、双曲線、放物線に内接する任意の六角形の三組の対辺の交点は同一直線上にある。
パスカルはこの有名な定理をわずか17才の時に発見したのですが、これは射影幾何学の基本定理の一つになっています。射影幾何学とは、長さや角の大きさに無関係に、例えば、いくつかの点がある直線上にあるといった関係、射影によって不変な図形の性質、を研究する学問です。パスカルの定理の重要な系が「円錐曲線は任意の5点で一意に定まる」です。
射影幾何学とは,長さや角の大きさに無関係に,例えば,いくつかの点がある直線上にあるといった関係,射影によって不変な図形の性質を研究する学問です.「無限遠点」「無限遠直線」を導入した射影平面上では,円錐曲線はただ1種類しかなく,双曲線・放物線・楕円などの区別はなく,どれも同種の曲線となります.また、射影平面上では点という語と直線という語を入れ替えても定理は成り立っています。これをポンスレーの双対原理と呼び、射影幾何学の最も美しい特質です。パスカルの定理から150年以上たって、その双対にある共点定理「円錐曲線の外接する6辺形の対角線は1点で交わる」6辺形定理が発見されたのですが、それがブリアンションの定理です。
duality
点←→線
共点性←→共線性
E←→ヨ
∧←→V
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円と直線のなす配置について、徳重先生(琉球大)は
[1]Miquelの定理の配置構造は立方体に対応する
[2]Wallaceの定理の配置構造は半立方体に対応する
正方形に内接する四角形ABCDについて,阿賀岡(広島大)はAからの距離a,Bからの距離b,Cからの距離c,Dからの距離dとすると
a/(1-a)・b/(1-b)・c/(1-c)・d/(1-d)=1
チェバの定理の類似が成り立つなど・・・
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正方形に内接する四角形ABCDについての逆問題,四角形ABCDに外接する正方形の作図については
a/(1-a)・b/(1-b)・c/(1-c)・d/(1-d)=1以外の表現型があり、
正方形の4辺上の点ABCDのADとBCの延長と正方形の対角線の延長との交点をPとするもの
sin(A-45)sin(C-45)=sin(B-45)sin(D-45)など・・・
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