■ワイソフ座標と重心座標(その20)

 三角形ABCの各辺を1:λの比に順次内分した点D,E,Fとし,AD,BE,CFの2本ずつの交点が作る三角計PQRを仮に「縮小三角形」と呼ぶことにする.

 正三角形の縮小三角形は正三角形であるが,コラム「縮小三角形の問題」では,任意の三角形の縮小三角形がもとの三角形と相似になる場合を扱った.

 ΔPQRの面積/ΔABCの面積=(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)

   λ=2なら1/7,λ=3なら4/13

 相似条件式はa≦c≦bまたはb≦c≦aとして

  a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0

になる.もちろんa=b=cはこれを満足するが,それ以外にも多数の解がある.そしてそれが必要十分条件であり,実際に縮小三角形がもとの三角形と裏返しに相似になる.

(Q1)三角形PQRが三角形ABCと裏返しに相似になっている直角三角形の例を求めよ.

(A1)縮小三角形の相似条件式は

  a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0

である.もちろんa=b=cはこれを満足するが,それ以外にも多数の解がある.等号を満たすためには

  a≦c≦bまたはb≦c≦a

であることが必要条件になる,

   a^2+c^2=b^2とすると(1+λ)a^2−c^2=0

   λ=2のとき,c=√3a,b=2a   (3辺の比が1:√3:2)

   b^2+c^2=a^2とすると(1+λ)b^2−λc^2=0

   λ=2のとき,c=√(3/2)b,a=√(5/2)b   (3辺の比が√2:√3:√5)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(Q2)a,b,cがすべて整数の例を求めよ.

(A2)不定方程式

  a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0

において,λ=2のとき,a=1,b=11,c=9がひとつの解であるが,これでは三角形にならない! a^2+2b^2=3c^2の整数解を代数幾何的(類体論的?)に求めて,二辺の和は他の一辺よりも長いかどうかを確かめる方が近道と思われる.

  (a,b,c)=(5,13,11),(5,23,19),(19,61,51),(19,71,59),(23,37,33),(25,47,41),(29,59,51),(43,97,83),(47,83,73),(53,73,67),(23,13,17),(25,11,17),(29,11,19),(47,23,33),(47,83,73),(53,37,43),(95,59,73),(95,73,81)

などが見つかるが,鋭角三角形になる例に限るとλ=2,a,b,c≦100の場合だけでも,

  (a,b,c)=(23,37,33),(25,47,41),(47,83,73),(53,37,43),(53,73,67),(73,47,57),(95,73,81)

の7組が抽出される.

===================================