■合同数の話(その17)
【1】フィボナッチの問題
ピタゴラス方程式:x^2+y^2=z^2には無数の自然数解があるのですが,それでは連立2次のディオファントス方程式:
x^2+y^2=z^2
x^2−y^2=w^2
の自明でない自然数解を考えてみましょう(フィボナッチの問題).
ただし,(1,0,±1,±1)などの自明な解は必ずあるわけですから,どのx,y,z,wも0でないものとします.
実は,そのような答えをもたないことがフェルマーによって証明されていて,それがフィボナッチ・フェルマーの定理と呼ばれます.フィボナッチは西暦1200年頃,解は存在しないことを予想していたのですが,400年後にフェルマー得意の無限降下法によって証明が与えられました.すなわち(x,y,z,w)の最大公約数が1である任意の原始解を定めるとx’<xなる第2の原始解,x”<x’なる第3の原始解,・・・ができて矛盾を生じてしまうのです(要するに数学的帰納法).
さらに,この定理を応用すると,
「3辺の長さが自然数であるような直角三角形と同じ面積をもつ,辺の長さが自然数の正方形は存在しない(x^2+y^2=z^2,xy=2t^2)」
「x^4−y^4=z^2の自然数解はない」
「x^4+y^4=z^4の自然数解はない(n=4の場合のフェルマー予想)」
などが証明できます.
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