■約数の和(その30)

 奇数の完全数が存在するかは未解決の難問になっています.

[1]奇数の完全数は平方数に奇数をひとつかけたものである.

[2]奇数の完全数を

  p^aq^br^c・・・

とすると,p,q,r,・・・は4n+1型素数で,a,b,cが偶数出なければならない.

[3]少なくとも8個の素因数をもつ.

[4]ある素数の累乗(10^18よりおおきいもの)で割り切れる.

[5]最大の素因数は300000以上

[6]2番目の素因数は1000以上

[7]10^9118以下の奇数の完全数はある素数の6乗で割り切れる.

 検証してみたい.

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 オイラーは奇数の完全数が存在するならば

  N=p^(4k+1)s^2

  pはsを割らない4m+1型素数

であることを証明した.

 s=q^ar^b・・・という異なる素数の積の形に書いてみれば

  s^2=q^2ar^2b・・・ 

  N=p^(4k+1)q^2ar^2b・・・

 Nを奇数の完全数と仮定すると

  σ(N)=σ(p^(4k+1))σ(q^2a)σ(r^2b)・・・=2N

したがって,

[1]σ(N)の奇数の約数はNのの約数(逆も真)

[2]σ(N)は2でわりきれるが,2^k  (k>1)ではわりきれない.

 pを4m+1型の特別の因数として,10^4より小さな奇数の完全数はないことを証明してみましょう.たとえば,p=13とすると,σ(13)は2Nを割り切る.しかし,

  σ(13)=14=2・7

より,7はNを割り切ることになる.しかし,7は特別な因数ではない(q,r,・・・の仲間である)ので,7^2とか7^4がNの成分になる.

 7^2がNの成分なら

  σ(7^2)=1+7+49=57

がNを割り切る.しかし,

  σ(7^2)=57=3・19

より,19はNを割り切ることになる.しかし,19は4m+1型の特別な因数ではない(q,r,・・・の仲間である)ので,19^2とか19^4がNの成分になる.同じ理由で3^2とか3ー4がNの成分になる.

 これらを繰り返しにより,Nは

  13・3^2・7^2・13^2>10^4

の倍数となるから,10^4より小さな奇数の完全数はないことが証明される.

 Nに対して,10^4より小さい5000の奇数を検討することなしに,わずかの事例だけで,この結果に達することができるのである.

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